ブッシュクラフトナイフ研究6。最適な鋼材とは?



こんにちは!のとむらです。ブッシュクラフトで色々なナイフを使い比べているうちに、それぞれの特性やメリットデメリットが分かってきて…

自分が理想とするブッシュクラフトナイフ像が見えてきました。

そこで当ブログを通して、自分なりの研究結果をレポートしていきたいと思います。

第6弾は、最適な鋼材についてです。

 

ナイフの鋼材とは?

ナイフの刀身部分の材質のことです。

まず炭素鋼とステンレス鋼の2つに大別され、さらにその中に種類があるという感じです。

一昔前まで、炭素鋼は切れ味が良くて研ぎやすいが錆びやすい性質があり、ステンレス鋼は研ぎにくいが錆びに強い性質があると言われていたのですが、

最近では中級クラスの炭素鋼よりも切れるステンレスや、サビに若干強い炭素鋼など、鋼材の開発がどんどん進んでいるため、この神話は崩壊しつつあります。

なので今は、炭素鋼かステンレス鋼かで選ぶというより、どの鋼材を選ぶか?という感じになってきていますね。

ブッシュクラフトナイフ研究7。最適なハンドル材と形状とは?

2022年1月23日

炭素鋼とステンレス鋼の違いがハッキリと出るケース

モーラナイフのコンパニオンヘビーデューティー、ヘレナイフのテマガミ、肥後守、オピネルなど、ほぼ同じ価格で炭素鋼モデルとステンレス鋼モデルに分かれている場合ですね。

鋼材としてのグレードがほぼ互角なので、こういうナイフに関しては炭素鋼とステンレス鋼の違いがハッキリと出ます。

互いの特徴を掴むにはうってつけです。

鋼材の硬度と切れ味の関係

鋼材のステータスの一つに「HRC」という硬度を示す数値があるのですが、この数値が高いほど切れ味が良く、刃こぼれしやすく、研ぎにくくなる傾向にあります。

商品ページに記載されていたりするので参考にすると良いでしょう。

ただしアテにしすぎてはいけません。実際に使ってみると、良くも悪くも「この数値ほんとかな?」と思うナイフもあります。

硬度によって切れ味にどれぐらい差があるのか、根拠となるデータはないのですが、私の体感的にはこんな印象です。

HRC56:悪い
HRC57:やや悪い
HRC58:普通
HRC59:良い
HRC60:けっこう良い
HRC61:かなり良い(刃こぼれしやすい)
HRC62:めちゃくちゃ良い(刃こぼれしやすい)

鋼材の硬度と研ぎやすさの関係

硬度から切れ味を読み取るのはある程度できるのですが、問題は研ぎやすさですね。

これは研ぐ人の技量や道具などによって変わってきますし、研ぎやすい硬度であっても、作りが粗悪なせいで、なかなか良い刃がつかないってこともあります。

なので研ぎやすいかどうかより、良い鋼材かどうか?信頼できるナイフメーカーかどうか?で選ぶと良いでしょう。

ナイフ界隈では「初心者は研ぎにくい高級鋼材には手を出すな」なんていう意見があったりするのですが、個人的には気にしなくていいかなと。

もちろん硬度が高いほど研ぎにくいのですが、反対に言えば切れ味が落ちにくく、ちょっと研げば簡単に復活するわけなので、初心者やライトユーザーにやさしい鋼材と言えます。

フラットグラインドの角を落としてコンベックスグラインドに改造するとかだったら、柔らかい鋼材のほうが良いですけどね。

ブッシュクラフトナイフに最適な鋼材は?

 さて、前置きが長くなりました。本題に移りましょう。

最適な鋼材は何を重視するかによって変わってくるかなと思います。

破壊力を重視する場合

チョッピングやバトニングするのがメインの場合、ガンガン叩きつける使い方になるので、柔らかめで靭性の強い鋼材が良いでしょう。

HRCで言うと56~58ぐらい。

炭素鋼だったら「1095」、「K720」。

ステンレスだったら「420HC」、「440A」あたりですかね。

ケーバー BK2。鋼材は「1095Cro-Van」。

ただでさえ刃こぼれに強い1095に改良を加えたもので、安心してガンガン叩ける。

 

 ガーバー LMF2インファントリー。鋼材は「420HC」。

折れに対して非常に強い。意外と刃持ちも悪くない。

切れ味を重視する場合

薪割りは斧や鉈に任せて、ナイフにはフェザースティックや食材カットなどの細かい作業性を求める場合、硬い鋼材が良いでしょう。

HRCで言うと60~62ぐらい。

炭素鋼だと「青紙スーパー」、「Sleipner」、「Cru-Wear」。

ステンレス鋼だと「M390」、「Elmax」、「CPM-MagnaCut」あたりですかね。

ただ、硬い鋼材ほど値段がふざけている傾向にあるので、予算が厳しい場合は「D2」、「SPT炭素鋼」、「154CM」、「CPM-S30V」あたりでも良いんじゃないかなと思います。

ライオンスチール M5。鋼材は「Sleipner」。

切れ味も良いが、特に刃持ちが良い印象。一生かけても使い切れる気がしない。

 

ブリサ トラッパー115。鋼材は「Elmax」。

小刃の付いていないフルスカンジで、木が面白いように削れる。

 

ケラム ウルヴァリン。鋼材は「SPT炭素鋼」。

正体が謎に包まれている鋼材だが、硬いということだけは実感できる。

おそらく硬度的には「Sleipner」と「Elmax」の中間ぐらいと思われる。

総合力を重視する場合

ナイフ一本で全てのブッシュクラフトを完結させたいといった場合、切れ味と破壊力どちらも必要になってくるので、少し硬めの鋼材が良いでしょう。

HRCで言うと59~60ぐらい。

炭素鋼だと「A2」、「80CrV2」。

ステンレス鋼だと「440C」、「VG-10」、「N695」あたりですかね。

バークリバー ブラボー1。鋼材は「A2」。

タフネスで切れ味も必要十分。

チョッピングやバトニングをしても刃こぼれせず、そのままフェザースティックに移行できる。

 

ジョーカー ノマド。鋼材は「N695」。

鋼材のバランスも良いが、ナイフ本体のバランスも良く、ハードな作業から細かい作業までオールマイティーにこなせる。

 

以上、ブッシュクラフトに最適な鋼材についてでした!

今回はちょっと長かったですね。鋼材について掘り下げると奥が深すぎて、というか底なし沼なので、永遠に終わりません(笑)

実際に使って、研いで、いろいろ試して、それを繰り返して、やっと少しだけ理解できるような世界だと思っています。

私もまだまだ勉強中です。一緒にナイフで遊びながら頑張りましょう。

 

 

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