こんにちは!みなさんはナイフの使い方を人から習ったことがありますか?
先日、モーラナイフ主催のイベントで「ナイフワークショップ」というものがあることを知り、ナイフ好きの私はさっそく参加してきました!
今回は、その内容についてレポートしたいと思います。
場所はUPI OUTDOOR鎌倉

ワークショップの会場は鎌倉駅西口から徒歩2分のところにある、「UPI OUTDOOR鎌倉」
東口は常に観光客でごった返しているが、西口は閑散としているので好きだ。

木のあたたかみがある外観。用がなくても立ち寄りたくなる。

店内にはモーラナイフをはじめとするアウトドア用品がズラリ。この配置がまたテンション上がるのなんのって。
ナイフを安全に使う心得を教わる

店の脇にある小さな敷地。ここで今回のナイフワークショップは行われる。薪割り放題、焚き火おこし放題と、ナイフ好きには夢のような空間だ。
参加者が揃うと、インストラクターの先生はおもむろにノートを取り出し、人間の絵を描いてみせた。
「ここが動脈です。動脈が切れると5分ぐらいで死んじゃうので救急車を呼んでも間に合いません。」
ナイフを扱う前にまず、絶対に切ってはいけない箇所について説明を受ける。とりあえず太ももの内側と首を切ったらヤバイということが分かった。
「ナイフを手に持つと2つの危険な領域が生まれます。一つが死のトライアングル。今言った動脈ですね。もう一つがブラッドサークルと呼ばれるものです。」
死のトライアングルとは、主に太ももの内側など、ナイフを持つ本人を死に至らしめる危険がある領域で、ブラッドサークルは周りにいる人間を傷つける危険がある領域のことを言うらしい。
なんとなく自分は安全にナイフを使えている気がしていたが、死のトライアングルについてはほとんど意識をしてこなかった。ワークショップ開始早々、自身が未熟者であることを思い知らされる。
「ナイフによる事故は一瞬です。動脈に当たってしまうと、ほんの5ミリ刃が入っただけで大変なことになります。」
先生は仕事柄、猟師やアウトドア関係の知り合いが多い。そのうち何人かは、動脈を切ったことによる事故で命を落としてしまっているらしい。
参加者さんの一人に、ナイフに詳しい人がいたが、その人も動脈の危険性について熟知している様子だった。
ナイフを好きでいるには、「刃物でケガをしたらどうなってしまうのか」という事まで考えなくてはいけないようだ。
バトニングを教わる
まずはバトニングから。
「バトニングをするときは絶対に真正面からやってはいけません。滑ったり、節に当たってナイフの軌道がズレた先に自分の体があるとケガの元です。」
そう言うと先生は、正しいバトニングのフォームを実演してみせた。利き腕ではないほうでナイフを持ち、利き腕にはナイフの背を叩くための棒を持つ。

ナイフは体の前ではなく、左右どちらかに来させるのがポイントだ。言葉だと分かりにくいので、写真を見ていただきたい。

「ナイフを叩くときは、できるだけ叩ける範囲を広くしたいので、刃の先端側が薪からたっぷりはみ出す位置に置いてください。その状態でゆっくりと、力を入れずに叩きます。」
先生いわく、バトニングは急いで力いっぱいやると上手く割れないだけでなく、ケガするリスクが上がってしまうのだそう。
「バトニングで気合を入れたくなるのは分かるんですが、キャンプでは最初の15分ぐらいの工程でしかないので、ここで無理をするメリットがないんですよ。」
ナイフを使うからには楽をするのが基本。力いっぱいやらないと割れないのは、ナイフの使い方が下手である証拠らしい。熟練者はそもそも割れない木は無理して割らず、火が大きくなったときに燃やしてしまうらしい。
先生の教えられたようにやってみるも、なかなかできない。見るのとやるのとではやはり大違いだ。フォームをチェックしてもらいながら、なんとか割ることができた。
ちなみに叩く用の木材は、適度な重さがあり、自分の腕の肘から指先くらいまでの長さがちょうど良いとのこと。長すぎる場合はノコギリで余分な部分を切り落とす。
ナイフとは関係ないがこのとき、「シルキーゴムボーイ」という大人気の折りたたみノコギリを使わせてもらった。力を入れずスムーズに切断できる。折りたたむとコンパクトで軽量だ。DIYにも良いのではないだろうか。
「叩くものは原則、木です。石や金属で叩くとナイフがへこんでしまうので、木かゴムハンマー以外では叩かないようにしてください。あと、グリップを叩いても欠けちゃいます。」
叩く動作一つとっても気をつけることだらけ。だからこそ、落ち着いてゆっくりやるのが大切なのかもしれない。
最初は刃の根元側を数回叩きながらハンドルをぐいっと下げて薪に食い込ませ、そのあとは刃の先端側をコンコンと叩くのがコツだそうだ。
フェザースティックを教わる

続いてはフェザースティック。力を入れずにゆっくりと、ナイフを動かすのではなく、薪のほうを前後に動かすのがコツだそうだ。
「薄く削るためには力を抜くことが大切です。反対に、厚く削りたければ力を入れます。上級者の人は薄いのと厚いのをブレンドさせたりもしますね。」
なるほど。聞くだけなら簡単だが実際にやってみると、どうしてもナイフを持つ手か薪を持つ手に力が入ってしまう。
力が入ると刃が自然と起き上がってしまい、より引っかかりやすくなるので、寝かせぎみにすると良いとのこと。
「それでもナイフが上手く入っていかない場合は、薪に対してナイフを直角にするのではなく、45度くらいに傾けると入りやすくなります。」
言われたとおりにやってみると、さっきよりも少し削りやすくなった。どの角度なら力を入れずに済むかを模索しながらやると良いらしい。
フェザースティック作りのフォームは3通りほどある。立った状態で空中で削る、座って膝の上で削る、真下に向けて削る。どのやり方もナイフの軌道上に自分の体と人が入らないようにするのがポイントだ。
「あとは薪に角を作ってあげるとまた削りやすくなりますね。」
バトニングもそうだが、フェザースティックも気を付けるべき点が多い。夢中にはなるが、まだまだ雑念が多く、無心にはなれなかった。
火起こし

続いては火起こし。運営側からお借りしたモーラナイフ「エリドリス」の背にストライカーをこすりつけて火花を出し、さきほど作ったフェザースティックに点火させるというものだ。まあ、先生はガーバーグでやっていたが。

またたく間に火をつける先生。
利き腕が右の場合はナイフを右手に持ち、左手でストライカーを引く。やりかたは引くのと押すのと2通りあるが、引いて点火させるほうが難しい(火花が前に飛ばないというメリットがあるが)
早々にあきらめ、押すスタイルでいくことにした。押すときはできるだけ垂直に向けて、火花を下に落とすようにやると効果的とのこと。とはいえ何十回とこすっても、一向に火がつかない。
「ジャッジャッと急いでこすると上手くいきません。一回一回ゆっくりと、ジャリリリッという感じでやりましょう。」
全てにおいてゆっくりが原則か・・・。教えのとおりにジャリリリッという感じでやってみると、見事に火が付いた。

勢いよく燃えていくフェザースティック。苦労して作っただけあって、喜びもひとしおだ。
ちなみに参加者のなかに中学生の女の子がいたのだが、バトニング、フェザースティック、火おこし、全てが誰よりも上手くて速かった。ナイフ好きのおっさん形無しである。
おすすめナイフを教わる
話題はおすすめナイフの話に。
「山に行くなら、モーラナイフのガーバーグ、ヘビーデューティー、エリドリスの3本を持って行くのがおすすめですね。」
先生は腰にガーバーグ、リュックの中にヘビーデューティー、首にエリドリスをぶら下げて山に行くらしい。なぜそんな装備の仕方をしているのかというと、紛失したときのためにリスクを分散しているのだという。
なるほど、物を失くすことは想定していなかったなぁ。勉強になる。
「ガーバーグは切れ味と耐久力が高いので、頼りになる一本です。ヘビーデューティーは刃先が細くて小回りが利くので、調理や細かい作業に向いていますね。エリドリスは小さいですが薪割りもできるし、ストライカーで火を起こせるのでミニマムサバイバルギアとして役立ちます。」
この3本のうち、ストライカーで火花を出せるのはガーバーグとエリドリス。全てのナイフが対応しているわけではないのだ。
「何度でも火花を起こせるんですか?」
参加者さんから質問がでる。
「いや、さすがに回数をこなすとナイフの背が丸くなって火花が出せなくなるので、そんなときはダイヤモンドシャープナーで研いで角を復活させてください。」
上も下も減ったら、やがて刃は無くなるのだろうか?そうなるまで使い倒してみたいものだ。
ちなみに先生はモーラナイフばかり推進しているが、自身は無類のナイフ好きで、他にもたくさん持っている。
話題はサバイバル方面に
「キャンプや登山に行くときは懐中電灯が必需品ですね。僕は3、4本持ち歩いてます。あと予備電池も。」
先生いわく、大自然の夜に明かりがなくなるのは相当ヤバいことらしい。
「最低でも500ルーメンのLEDライト、欲を言えば1000ルーメンは欲しいところです。」
さすがに明るすぎでは?と思ったが、人を捜索するにはそれくらいないと厳しいというのだ。
「ケガしたときのために救急キットも必需品です。」
先生は年季の入ったミリタリーポーチを取り出した。化粧ポーチの2倍くらい大きい。
「アルコール綿なんかは、傷口の消毒のほかに、着火剤としても使えます。ただ、100均のは数ヶ月でアルコールが蒸発しちゃうのでダメですね。薬局でちゃんとしたものを買ったほうが良いです。」
装備は多いに越したことはないということか。
ナイフワークショップの意義
「えー…僕はこうしてナイフワークショップん開いたり、小学校に行ったり自衛隊に行ったりして、いろんなところでナイフの使い方について教えてるんですが…」
宴もたけなわ。先生の締めの言葉が入る。
「特に子どもたちには、判断力を養うことを目的に教えています。どうすれば安全にできるか?状況に応じて正しい判断ができる子に育てとたいんですよね。ナイフはそのための手段の一つにしかすぎません。」
判断力・・・たしかに子どもたちは無茶をしてケガをしてしまうことが多い。判断力が身につけば、不幸な事故を起こすリスクはぐんと下がるだろう。
そのための手段がナイフというのも、ナイフ好きとしてはとても嬉しい話。ナイフは命を助ける道具であると同時に、使い方を誤れば命を落とす。こんなにも生と死の狭間にいる道具は他にはないだろう。いやあった。ベルトコンベアーとか車とか。普通にあった。
そんなこんなでナイフワークショップ終了。プロの人に学んだおかげで一歩成長できたような気がした。今回の経験を活かし、安全にナイフが使えるように腕を磨きたい。

つい買ってしまったモーラナイフの「コンパニオンヘビーデューティーMG」。最近出た待望のステンレスモデルだ。

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